本小節では,を集合とするとき,各整数に対してと書き(である),と書く.また,を全順序集合とするとき,, , に属する列のうち昇順であるもの全体のなす集合を,それぞれ, , と書く.
証明
各整数に対してであることを,に関する帰納法で示す.はの基底だから,である.したがって,任意のに対してを示せばよい.が長さ未満のときは帰納法の仮定から従うから,が長さのときを考える.として,
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と定める.ならば,を満たすがとれる.においてとを入れ替えたものをと置くと,かつ
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であり,帰納法の仮定より上式の右辺第2項はに含まれるから,をいうためにはをいえばよい.これを繰り返すことにより,の場合に帰着されるが,このときは昇順であり,主張は明らかである.これで,帰納法が完成した.
が線型独立であることを示す.そのために,Lie代数の準同型であって,これが誘導する単位的代数の準同型をそのままと書くと,が線型独立となるものを構成する.以下では,次の記号を用いる.
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に対して,と書く.
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とに対して,任意のに対してであることを,と書く.
主張2.5
各に対して,次の条件を満たす線型写像が一意に存在する.
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()
任意のとに対して,ならばである.
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()
任意の,,に対して,である.
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()
任意の, とに対して,(()より, だから右辺が定義されることに注意する)である.
この主張が示されれば,一意性よりに対するの全体は線型写像を定め,条件()よりはLie代数の準同型となる.これが誘導する単位的代数の準同型をそのままと書くと,に対して,条件()より
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となり,これらは線型独立だから,の全体も線型独立となる.
に関する帰納法で示す.のときは明らかである.とし,条件を満たすが一意に存在するとして,条件を満たすが一意に存在することを示す.
まず,条件を満たすの一意性を示す.の一意性より,
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である.また,とに対するは,次のように一意に定まる.
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の場合,条件()より
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である.
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それ以外の場合,(,)と書けば,かつである.したがって,
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()による |
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()による |
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2.2節による |
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となる.さらに,条件()より()と書けるから,
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()による |
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2.2節による |
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となる.よって,
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である.
これで,一意性が示された.
次に,とに対して2.2節, 2.2節, 2.2節によってを定めることにより線型写像を定義すると,これは主張の条件を満たすことを示す.条件()と()を満たすことは明らかだから,条件()を満たすことを示す.以下,簡単のため,の代わりにと書く.任意の, とに対して,
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を示したい.
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(I)
の場合,2.2節は定義2.2節と()から従う.
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(II)
とする.の場合,2.2節は明らかである.
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(III)
とする.かつの場合,定義2.2節と()より()と書け,
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定義2.2節と()による |
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定義2.2節による |
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定義2.2節による |
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となる.よって,2.2節が成り立つ.
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(IV)
とする.かつの場合は,より,(III)に帰着される.
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(V)
とする.上記(II), (III), (IV)以外の場合,(,)と書けば,, かつである.定義2.2節と()より,()と書ける.(III)より
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であり,(II)より
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だから,これらを辺々足して
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を得る.したがって,
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定義2.2節と()による |
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(II)による |
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(II)による |
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(V)による |
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である.いま,とに対する仮定は対称的だから,上式でとを入れ替えた式
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も成り立つ.これらの2式を辺々引いて,
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(II)による |
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(II)による |
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定義2.2節と()による |
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を得る.よって,2.2節が成り立つ.
これで,存在が示された.//
これで,が線型独立であることが示された.∎
Poincaré–Birkhoff–Wittの定理の基底によらない定式化を述べるため,用語を準備する.単位的結合代数上のフィルトレーション(filtration)とは,の部分ベクトル空間の増加列であって,であり,かつ任意の, に対してを満たすものをいう.単位的結合代数とその上のフィルトレーションの組を,フィルトレーション付き単位的結合代数(filtered unital associative algebra)という.をフィルトレーション付き結合代数とするとき,
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(とみなす)と定めると,の乗法はからへの双線型写像を誘導し,これを乗法として,は次数付き単位的結合代数をなす.これを,に伴う次数付き単位的結合代数という.
をLie代数とすると,は包絡代数上のフィルトレーションである.次の定理では,フィルトレーション付き単位的結合代数に伴う次数付き単位的結合代数
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を考える.
証明
Lie代数からその包絡代数への自然な写像をと書く.であり,任意の, と, , , , に対して
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だから,は次数付き単位的代数の準同型である.さらに,任意の, に対して
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だから,は次数付き単位的代数の準同型を誘導する.あとは,が線型同型であることを示せばよい.
全順序集合で添字付けられたの基底をとる.とすると,に対するの全体はの基底をなす.一方で,定理2.4 (1)より,に対するの全体はの基底をなす.は,各をに移すから,線型同型である.∎
証明
全順序集合で添字付けられたの基底をとる.さらに,全順序集合で添字付けられたの基底であって,はの部分順序集合であり,に対してはであるものをとる.定理2.4より,はの基底であり,はの基底である.は,各をに移すから,単射である.∎