3.1 整ベクトルと優整ベクトル
定義3.1 (整ベクトル,優整ベクトル)
を有限次元ベクトル空間上の被約ルート系とする.
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(1)
がに関する整ベクトル(integral vector)であるとは,任意のルートに対してであることをいう.
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(2)
さらに,をの基底とする.このとき,がに関する優整ベクトル(dominant integral vector)であるとは,任意の単純ルートに対してであることをいう.
を有限次元ベクトル空間上の被約ルート系とし,をその基底とする.このとき,は双対ルート系の基底である(命題2.17).したがって,がに関する整ベクトルであるためには,任意の単純ルートに対してであれば十分である.また,の基底の双対基底をと書くと,に関する整ベクトル全体のなす集合はであり,に関する優整ベクトル全体のなす集合はである.
補題3.2
を有限次元実内積空間(その内積をと書く),をその基底とし,の内積に関するの双対基底をと書く.任意の異なる二つの元, に対して,であるとする.このとき,が成り立つ.
証明
を基底の元の線型結合として表すとき,あるの係数が負となるとする.このとき,線型形式を,かつに対してが十分小さい正の実数となるようにとれば,となる.したがって,は一つの半開空間に含まれる.また,より任意のに対してだから,仮定と合わせて,の任意の異なる二つの元の内積が以下であることを得る.これらのことと補題2.4より,は線型独立となるが,これは矛盾である.よって,背理法より,である.∎
命題3.3
を有限次元ベクトル空間上の被約ルート系とする.
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(1)
に関する任意の整ベクトルは,に含まれる.
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(2)
さらに,をの基底とする.このとき,に関する任意の優整ベクトルは,に含まれる.
3.2 優整ベクトルとWeyl群
命題3.4
を有限次元ベクトル空間上の被約ルート系とし,をその基底とする.に関する任意の整ベクトルに対して,あるが存在して,がに関する優整ベクトルとなる22 2 より強く,軌道がただ一つの優整ベクトルを含むことまでいえる.証明は,Humphreys [2, §10.3, Lemma B] を参照のこと..
証明
命題3.5
を有限次元ベクトル空間上のルート系とし,をその基底とする.の部分集合が,次の条件を満たすとする.
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(i)
あるが存在して,となる.
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(ii)
は安定である.
このとき,は有限である.