UNIT:コンパクトLie群@

3 コンパクトLie群の位相的性質

3.1 Weylの定理

補題3.1

GGを局所コンパクト連結Hausdorff群,Γ\Gammaをその離散部分群とし,G/ΓG/\Gammaはコンパクトであるとする.このとき,Γ\Gammaは有限生成である.

証明

G/ΓG/\Gammaがコンパクトであることより,コンパクト集合CGC\subseteq GであってG=CΓG=C\Gammaを満たすものがとれる.必要ならばCCを大きくとりなおして,G=CΓG=C^{\circ}\GammaCC^{\circ}は,CCの内部を表す)であり,かつG=n=1CnG=\bigcup_{n=1}^{\infty}C^{n}であるとしてよい.C2C^{2}はコンパクト集合であり(Cg)gΓ(C^{\circ}g)_{g\in\Gamma}はその開被覆だから,有限部分集合FΓF\subseteq\GammaであってC2CFCFC^{2}\subseteq C^{\circ}F\subseteq CFを満たすものが存在する.このことから帰納的に,任意のn>0n\in\mathbb{N}_{>0}に対してCnCFC^{n}\subseteq CFであることがわかる.G=n=1CnG=\bigcup_{n=1}^{\infty}C^{n}だったから,G=CFG=CFを得る.したがって,任意のgΓg\in\Gammag=g1g2g=g_{1}g_{2}g1Cg_{1}\in Cg2Fg_{2}\in F)と書けるが,このときg1=gg21Γg_{1}=gg_{2}^{-1}\in\Gammaだから,g1CΓg_{1}\in C\cap\Gammaである.よって,Γ\Gammaは群として有限部分集合(CΓ)F(C\cap\Gamma)\cup Fによって生成される.∎

補題3.2

連結位相群GGの離散正規部分群Γ\Gammaは,中心𝐙(G)\mathbf{Z}(G)に含まれる.

証明

xΓx\in\Gammaを任意にとる.GGからΓ\Gammaへの連続写像ggxg1g\mapsto gxg^{-1}は,GGが連結でΓ\Gammaが離散であることより定値であり,単位元eexxに移すから,常に値xxをとる.すなわち,x𝐙(G)x\in\mathbf{Z}(G)である.∎

補題3.3

GGをコンパクト連結Lie群,(G~,p)(\widetilde{G},p)をその連結なmm重被覆Lie群(m>0m\in\mathbb{N}_{>0})とし,𝔤=Lie(G)=Lie(G~)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)=\operatorname{Lie}(\widetilde{G})と置く.TTT~\widetilde{T}をそれぞれGGG~\widetilde{G}の極大トーラスとし,これらは共通のLie代数𝔱\mathfrak{t}をもつとする.

  1. (1)

    p(T~)=Tp(\widetilde{T})=Tであり,(T~,p|T~)(\widetilde{T},p|_{\widetilde{T}})TTの連結なmm重被覆Lie群である.

  2. (2)

    X(T)X(T~)X(T)\subseteq X(\widetilde{T})かつ(X(T~):X(T))=m(X(\widetilde{T}):X(T))=mが成り立つ.

証明

(1) p(T~)p(\widetilde{T})Lie(p)(𝔱)=𝔱\operatorname{Lie}(p)(\mathfrak{t})=\mathfrak{t}をLie代数にもつGGの連結部分Lie群だから,TTに等しい.Lie群の準同型p|T~:T~Tp|_{\widetilde{T}}\colon\widetilde{T}\to Tの微分はid𝔱\mathrm{id}_{\mathfrak{t}}だから,p|T~p|_{\widetilde{T}}はLie群の被覆準同型である.さらに,補題3.2系2.13よりKer(p)𝐙(G~)T~\operatorname{Ker}(p)\subseteq\mathbf{Z}(\widetilde{G})\subseteq\widetilde{T}だから,(T~,p|T~)(\widetilde{T},p|_{\widetilde{T}})の被覆次数は(G~,p)(\widetilde{G},p)の被覆次数と等しくmmである.

(2) TTT~\widetilde{T}の指数写像はexpT=p|T~expT~\exp_{T}=p|_{\widetilde{T}}\circ\exp_{\widetilde{T}}を満たすから,Ker(expT~)Ker(expT)\operatorname{Ker}(\exp_{\widetilde{T}})\subseteq\operatorname{Ker}(\exp_{T})かつ(Ker(expT):Ker(expT~))=#Ker(p|T~)=m(\operatorname{Ker}(\exp_{T}):\operatorname{Ker}(\exp_{\widetilde{T}}))=\#% \operatorname{Ker}(p|_{\widetilde{T}})=mである.よって,命題2.21と格子に関する一般論より,X(T)X(T~)X(T)\subseteq X(\widetilde{T})かつ(X(T~):X(T))=m(X(\widetilde{T}):X(T))=mが成り立つ. ∎

定理3.4 (Weylの定理)

連結Lie群GGがコンパクトかつ半単純なLie代数𝔤\mathfrak{g}をもつならば,GGはコンパクトである.

証明

必要ならば普遍被覆Lie群を考えることで,一般性を失わず,GGは単連結であると仮定する.𝔤\mathfrak{g}がコンパクトであることより,𝔤\mathfrak{g}と同型なLie代数をもつコンパクト連結Lie群GG^{\prime}が存在し,GG^{\prime}GGのある離散正規部分群Γ\Gammaによる商G/ΓG/\Gammaと同型である.GGがコンパクトであることを示すためには,Γ\Gammaが有限であることを示せばよい.

Γ\Gammaは,有限生成であり(補題3.1),中心𝐙(G)\mathbf{Z}(G)に含まれる(補題3.2)から可換である.したがって,有限生成可換群の構造定理より,もしΓ\Gammaが無限ならば,任意のm>0m\in\mathbb{N}_{>0}に対して指数mmの部分群Γ1Γ\Gamma_{1}\subseteq\Gammaが存在する.等化準同型をp:G/Γ1G/Γp\colon G/\Gamma_{1}\to G/\Gammaと書くと,(G/Γ1,p)(G/\Gamma_{1},p)G/ΓG/\Gammamm重被覆Lie群である.G/ΓG/\Gammaはコンパクトだから,G/Γ1G/\Gamma_{1}もコンパクトである.ここで,𝔤\mathfrak{g}のCartan部分代数𝔱\mathfrak{t}を一つ固定し,これをLie代数にもつG/Γ1G/\Gamma_{1}G/ΓG/\Gammaの極大トーラスをそれぞれT~\widetilde{T}TTと書く.また,Δ=Δ(𝔤(),𝔱())\Delta=\Delta(\mathfrak{g}_{(\mathbb{C})},\mathfrak{t}_{(\mathbb{C})})と置き,Q(Δ)Q(\Delta)P(Δ)P(\Delta)を前小節のとおりに定める.すると,

Q(Δ)X(T)X(T~)P(Δ),(X(T~):X(T))=mQ(\Delta)\subseteq X(T)\subseteq X(\widetilde{T})\subseteq P(\Delta),\qquad(X(% \widetilde{T}):X(T))=m

である(命題2.24 (1),補題3.3).一方で,𝔤\mathfrak{g}が半単純であることより,Q(Δ)Q(\Delta)P(Δ)P(\Delta)はともに実ベクトル空間{λ(𝔱())λ(𝔱)i}\{\lambda\in(\mathfrak{t}_{(\mathbb{C})})^{*}\mid\lambda(\mathfrak{t})% \subseteq i\mathbb{R}\}上の格子だから,(P(Δ):Q(Δ))<(P(\Delta):Q(\Delta))<\inftyである.これは,m>0m\in\mathbb{N}_{>0}を任意にとれることに矛盾する.よって,背理法より,Γ\Gammaは有限である.∎

系3.5

GGをコンパクト連結Lie群とし,(G~,p)(\widetilde{G},p)をその普遍被覆Lie群とする.このとき,次の条件は同値である.

  1. (a)

    GGは半単純である.

  2. (b)

    中心𝐙(G)\mathbf{Z}(G)は有限である.

  3. (c)

    G~\widetilde{G}はコンパクトである.

  4. (d)

    基本群π1(G)\pi_{1}(G)は有限である.

証明

𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)と置く.𝔤\mathfrak{g}は,コンパクト半単純Lie代数[𝔤,𝔤][\mathfrak{g},\mathfrak{g}]と可換Lie代数𝐙(𝔤)\mathbf{Z}(\mathfrak{g})に(Lie代数として)直和分解される(系1.4).

(a)(b)\text{(a)}\Longleftrightarrow\text{(b)} GGが半単純であるための必要十分条件は,𝐙(𝔤)=0\mathbf{Z}(\mathfrak{g})=0であることである.𝐙(G)\mathbf{Z}(G)はコンパクトLie群GGの閉部分群であって𝐙(𝔤)\mathbf{Z}(\mathfrak{g})をLie代数にもつから,𝐙(𝔤)=0\mathbf{Z}(\mathfrak{g})=0は,𝐙(G)\mathbf{Z}(G)が有限であることと同値である.

(a)(c)\text{(a)}\Longleftrightarrow\text{(c)} G~\widetilde{G}^{\prime}[𝔤,𝔤][\mathfrak{g},\mathfrak{g}]をLie代数にもつ単連結Lie群とすると,G~G~×𝐙(𝔤)\widetilde{G}\cong\widetilde{G}^{\prime}\times\mathbf{Z}(\mathfrak{g})である(ここで,𝐙(𝔤)\mathbf{Z}(\mathfrak{g})を,加法によってLie群とみなしている).Weylの定理(定理3.4)よりG~\widetilde{G}^{\prime}はコンパクトだから,G~\widetilde{G}がコンパクトであるための必要十分条件は,𝐙(𝔤)=0\mathbf{Z}(\mathfrak{g})=0,すなわちGGが半単純であることである.

(c)(d)\text{(c)}\Longleftrightarrow\text{(d)} G~\widetilde{G}がコンパクトであることは,Ker(p)\operatorname{Ker}(p)が有限であることと同値である.基本群π1(G)\pi_{1}(G)Ker(p)\operatorname{Ker}(p)に同型だから,主張が成り立つ. ∎

3.2 Cartan部分群の性質

命題3.6

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群とし,𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)と置く.𝔤=[𝔤,𝔤]\mathfrak{g}^{\prime}=[\mathfrak{g},\mathfrak{g}]と置き,これをLie代数にもつGGの連結部分Lie群をGG^{\prime}と書く.

  1. (1)

    GG^{\prime}はコンパクトである.

  2. (2)

    G×𝐙(G)0G^{\prime}\times\mathbf{Z}(G)_{0}からGGへの写像(g,z)gz(g^{\prime},z)\mapsto g^{\prime}zは,Lie群の全射被覆準同型である.

証明

(1) 𝔤\mathfrak{g}^{\prime}はコンパクトかつ半単純だから(系1.4),主張はWeylの定理(定理3.4)から従う.

(2) G×𝐙(G)0G^{\prime}\times\mathbf{Z}(G)_{0}からGGへの写像(g,z)gz(g^{\prime},z)\mapsto g^{\prime}zを,ϕ\phiと書く.GG^{\prime}の任意の元と𝐙(G)0\mathbf{Z}(G)_{0}の任意の元は可換だから,ϕ\phiはLie群の準同型である.さらに,𝔤=𝔤𝐙(𝔤)\mathfrak{g}=\mathfrak{g}^{\prime}\oplus\mathbf{Z}(\mathfrak{g})よりLie(ϕ):𝔤×𝐙(𝔤)𝔤\operatorname{Lie}(\phi)\colon\mathfrak{g}^{\prime}\times\mathbf{Z}(\mathfrak{% g})\to\mathfrak{g}は同型であり,GGは連結だから,ϕ\phiはLie群の全射被覆準同型である. ∎

命題3.7

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群とし,𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)と置く.𝔤=[𝔤,𝔤]\mathfrak{g}^{\prime}=[\mathfrak{g},\mathfrak{g}]と置き,これをLie代数にもつGGの連結部分Lie群をGG^{\prime}と書く(命題3.6 (1)より,GG^{\prime}はコンパクトである).このとき,GG^{\prime}の極大トーラスTT^{\prime}に対して,T𝐙(G)0T^{\prime}\mathbf{Z}(G)_{0}GGのCartan部分群であり,GGの任意のCartan部分群は,GG^{\prime}の一意な極大トーラスTT^{\prime}を用いてこのように表せる.

証明

𝔤\mathfrak{g}^{\prime}のCartan部分代数𝔱\mathfrak{t}^{\prime}に対して,𝔱𝐙(𝔤)\mathfrak{t}^{\prime}\oplus\mathbf{Z}(\mathfrak{g})𝔤\mathfrak{g}のCartan部分代数であり,𝔤\mathfrak{g}の任意のCartan部分代数𝔱\mathfrak{t}は,𝔤\mathfrak{g}^{\prime}の一意なCartan部分代数𝔱\mathfrak{t}^{\prime}を用いてこのように表せる.さらに,𝔱\mathfrak{t}^{\prime}をLie代数にもつGG^{\prime}の極大トーラスをTT^{\prime}と書くと,𝔱𝐙(𝔤)\mathfrak{t}^{\prime}\oplus\mathbf{Z}(\mathfrak{g})をLie代数にもつGGのCartan部分群はT𝐙(G)0T^{\prime}\mathbf{Z}(G)_{0}である.これで,主張が示された.∎

命題3.6命題3.7を用いて,2.3節で述べたコンパクト連結Lie群の極大トーラスに対する結果を,コンパクトなLie代数をもつ連結Lie群のCartan部分群にまで拡張する.

定理3.8

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群とし,TTをそのCartan部分群とする.このとき,GGの任意の元は,TTのある元に共役である.

証明

𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)𝔤=[𝔤,𝔤]\mathfrak{g}^{\prime}=[\mathfrak{g},\mathfrak{g}]と置き,𝔤\mathfrak{g}^{\prime}をLie代数にもつGGの連結部分Lie群をGG^{\prime}と書く.GG^{\prime}はコンパクトであり(命題3.6 (1)),GG^{\prime}の極大トーラスTT^{\prime}が存在してT=T𝐙(G)0T=T^{\prime}\mathbf{Z}(G)_{0}が成り立つ(命題3.7).G=G𝐙(G)0G=G^{\prime}\mathbf{Z}(G)_{0}であり(命題3.6 (2)),GG^{\prime}の任意の元はTT^{\prime}のある元に共役だから(定理2.11),GGの任意の元はTTのある元に共役である.∎

系3.9

コンパクトなLie代数をもつ連結Lie群GGの指数写像は,全射である.

証明

定理3.8より,GGはそのCartan部分群全体の合併に等しい.連結可換Lie群の指数写像は全射だから(命題2.1 (1)),GGの指数写像も全射である.∎

系3.10

コンパクトなLie代数をもつ連結Lie群GGのすべてのCartan部分群の交叉は,中心𝐙(G)\mathbf{Z}(G)に等しい.

証明

定理3.8よりGGはそのCartan部分群全体の合併に等しいから,zGz\in GGGのすべてのCartan部分群に含まれるとすると,z𝐙(G)z\in\mathbf{Z}(G)である.一方で,TTGGの極大トーラスとすると,定理3.8より,任意のz𝐙(G)z\in\mathbf{Z}(G)に対してあるgGg\in Gが存在してz=gzg1Tz=gzg^{-1}\in Tとなる.よって,GGのすべてのCartan部分群の交叉は,中心𝐙(G)\mathbf{Z}(G)に等しい.∎

命題3.11

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群とし,SSをその連結可換部分Lie群とする.このとき,中心化子𝐙G(S)\mathbf{Z}_{G}(S)は,GGのCartan部分群であってSSを含むもの全体の合併に等しい.

証明

任意のg𝐙G(S)g\in\mathbf{Z}_{G}(S)に対して,GGのCartan部分群であってggSSを含むものが存在することを示せばよい.𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)𝔰=Lie(S)\mathfrak{s}=\operatorname{Lie}(S)と置く.𝔰+𝐙(𝔤)\mathfrak{s}+\mathbf{Z}(\mathfrak{g})をLie代数にもつGGの連結部分Lie群はS𝐙(G)0S\mathbf{Z}(G)_{0}であり,これは𝐙G(S𝐙(G)0)=𝐙G(S)\mathbf{Z}_{G}(S\mathbf{Z}(G)_{0})=\mathbf{Z}_{G}(S)を満たす.そこで,必要ならばS𝐙(G)0S\mathbf{Z}(G)_{0}を改めてSSと置くことで,一般性を失わず,𝐙(𝔤)𝔰\mathbf{Z}(\mathfrak{g})\subseteq\mathfrak{s}であると仮定する.

𝔤=[𝔤,𝔤]\mathfrak{g}^{\prime}=[\mathfrak{g},\mathfrak{g}]と置き,これをLie代数にもつGGの連結部分Lie群をGG^{\prime}と書く.命題3.6より,g=gzg=g^{\prime}zgGg^{\prime}\in G^{\prime}z𝐙(G)0z\in\mathbf{Z}(G)_{0})と書ける.𝔰=𝔰𝔤\mathfrak{s}^{\prime}=\mathfrak{s}\cap\mathfrak{g}^{\prime}と置くと,𝔰=𝔰𝐙(𝔤)\mathfrak{s}=\mathfrak{s}^{\prime}\oplus\mathbf{Z}(\mathfrak{g})だから,S=S𝐙(G)0S=S^{\prime}\mathbf{Z}(G)_{0}である.𝔰\mathfrak{s}^{\prime}をLie代数にもつGG^{\prime}の連結部分Lie群をSS^{\prime}と書くと,系2.14より,GG^{\prime}の極大トーラスTT^{\prime}であってgg^{\prime}SS^{\prime}を含むものが存在する.T=T𝐙(G)0T=T^{\prime}\mathbf{Z}(G)_{0}GGのCartan部分群であり(命題3.7),g=gzg=g^{\prime}zS=S𝐙(G)0S=S^{\prime}\mathbf{Z}(G)_{0}を含む.これで,主張が示された.∎

系3.12

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群とする.

  1. (1)

    GGの連結可換部分Lie群SSに対して,中心化子𝐙G(S)\mathbf{Z}_{G}(S)は連結である.

  2. (2)

    GGのCartan部分群TTに対して,中心化子𝐙G(T)\mathbf{Z}_{G}(T)TTに等しい.特に,TTGGにおいて極大可換である.

証明

命題3.11から従う.∎

系3.13

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群とし,𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)と置く.𝔞\mathfrak{a}𝔤\mathfrak{g}の部分集合とし,𝔞\mathfrak{a}の任意の二つの元は可換であるとする.このとき,𝐙G(𝔞)\mathbf{Z}_{G}(\mathfrak{a})は連結である.

証明

仮定より,span𝔞\operatorname{span}_{\mathbb{R}}\mathfrak{a}𝔤\mathfrak{g}の可換部分Lie代数である.これをLie代数にもつGGの連結部分Lie群をAAと置くと,𝐙G(𝔞)=𝐙G(span𝔞)=𝐙G(A)\mathbf{Z}_{G}(\mathfrak{a})=\mathbf{Z}_{G}(\operatorname{span}_{\mathbb{R}}% \mathfrak{a})=\mathbf{Z}_{G}(A)だから,主張は系3.12 (1)から従う.∎

3.3 部分群と商群のCartan部分群

補題3.14

𝔤\mathfrak{g}𝔥\mathfrak{h}を標数0の可換体𝕂\mathbb{K}上の簡約Lie代数とし,f:𝔤𝔥f\colon\mathfrak{g}\to\mathfrak{h}をLie代数の全射準同型とする.このとき,𝔤\mathfrak{g}のCartan部分代数𝔱\mathfrak{t}に対して,f(𝔱)f(\mathfrak{t})𝔥\mathfrak{h}のCartan部分代数である.44 4 この主張は,𝔤\mathfrak{g}𝔥\mathfrak{h}が一般の(標数0とは限らない)可換体𝕂\mathbb{K}上の有限次元Lie代数であっても成り立つ.一般の場合の証明については,Bourbaki [1, §VII.2.1, Corollaire 2 du Proposition 4]を参照のこと.

証明

Ker(f)\operatorname{Ker}(f)は簡約Lie代数𝔤\mathfrak{g}命題1.2)のイデアルだから,その補イデアル𝔞𝔤\mathfrak{a}\subseteq\mathfrak{g}が存在して,Lie代数としての直和分解𝔤=Ker(f)𝔞\mathfrak{g}=\operatorname{Ker}(f)\oplus\mathfrak{a}が成り立つ.𝔱\mathfrak{t}𝔤\mathfrak{g}のCartan部分代数だから,直和Lie代数のCartan部分代数に関する結果(参照)より,𝔱𝔞\mathfrak{t}\cap\mathfrak{a}𝔞\mathfrak{a}のCartan部分代数である.f|𝔞f|_{\mathfrak{a}}はLie代数𝔞\mathfrak{a}から𝔥\mathfrak{h}への同型であり,𝔱𝔞\mathfrak{t}\cap\mathfrak{a}f(𝔱)f(\mathfrak{t})に移すから,f(𝔱)f(\mathfrak{t})𝔥\mathfrak{h}のCartan部分代数である.∎

命題3.15

GGHHをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群とし,f:GHf\colon G\to HをLie群の全射準同型とする.

  1. (1)

    GGの任意のCartan部分群TGT_{G}に対して,f(TG)f(T_{G})HHのCartan部分群である.さらに,HHの任意のCartan部分群はこのように表せる.

  2. (2)

    Ker(f)𝐙(G)\operatorname{Ker}(f)\subseteq\mathbf{Z}(G)とする.このとき,写像TGf(TG)T_{G}\mapsto f(T_{G})THf1(TH)T_{H}\mapsto f^{-1}(T_{H})は,GGのCartan部分群TGT_{G}HHのCartan部分群THT_{H}との間の(互いに他の逆である)一対一対応を与える.

証明

(1) 命題1.2より,Lie(G)\operatorname{Lie}(G)Lie(H)\operatorname{Lie}(H)は簡約である.GGは連結でffはLie群の全射準同型だから,Lie(f):Lie(G)Lie(H)\operatorname{Lie}(f)\colon\operatorname{Lie}(G)\to\operatorname{Lie}(H)はLie代数の全射準同型である.TGGT_{G}\subseteq GをCartan部分群とすると,Lie(TG)\operatorname{Lie}(T_{G})Lie(G)\operatorname{Lie}(G)のCartan部分代数だから,Lie(f)(Lie(TG))\operatorname{Lie}(f)(\operatorname{Lie}(T_{G}))Lie(H)\operatorname{Lie}(H)のCartan部分代数である(補題3.14).f(TG)f(T_{G})は,Lie(f)(Lie(TG))\operatorname{Lie}(f)(\operatorname{Lie}(T_{G}))をLie代数にもつHHの連結部分Lie群だから,HHのCartan部分代数である.

任意のCartan部分群THHT_{H}\subseteq HGGのあるCartan部分群のffによる像として書けることを示す.Cartan部分群TGGT_{G}\subseteq Gを一つ固定する.前段の結果よりf(TG)f(T_{G})HHのCartan部分群だから,Cartan部分群の共役性(命題2.4)より,あるhHh\in Hが存在してhf(TG)h1=THhf(T_{G})h^{-1}=T_{H}となる.ffは全射だからh=f(g)h=f(g)と書けて,f(gTGg1)=THf(gT_{G}g^{-1})=T_{H}が成り立つ.

(2) ffは全射だから,任意のCartan部分群THHT_{H}\subseteq Hに対して,f(f1(TH))=THf(f^{-1}(T_{H}))=T_{H}である.また,任意のCartan部分群TGGT_{G}\subseteq Gに対して,Ker(f)𝐙(G)TG\operatorname{Ker}(f)\subseteq\mathbf{Z}(G)\subseteq T_{G}だから(系3.10),f1(f(TG))=TGf^{-1}(f(T_{G}))=T_{G}である.これらのことと(1)より,主張の一対一対応が成り立つ. ∎

命題3.16

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群とし,HHをその閉部分群とする.

  1. (1)

    HHの任意のCartan部分群THT_{H}に対して,GGのあるCartan部分群TGT_{G}が存在して,TH=TGHT_{H}=T_{G}\cap Hと書ける.

  2. (2)

    HHGGの閉正規部分群であるとする.このとき,GGの任意のCartan部分群TGT_{G}に対して,TGHT_{G}\cap HHHのCartan部分群である.

証明

(1) THT_{H}GGの連結可換部分Lie群だから,それを含むCartan部分群TGT_{G}が存在する(命題2.5).TGHT_{G}\cap HHHの可換部分群であってTHT_{H}を含むが,THT_{H}HHにおいて極大可換だから(系3.12),TH=TGHT_{H}=T_{G}\cap Hとなる.

(2) 𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)𝔥=Lie(H)\mathfrak{h}=\operatorname{Lie}(H)𝔱=Lie(TG)\mathfrak{t}=\operatorname{Lie}(T_{G})と置く.𝔥\mathfrak{h}は簡約Lie代数𝔤\mathfrak{g}命題1.2)のイデアルだから,その補イデアル𝔞𝔤\mathfrak{a}\subseteq\mathfrak{g}が存在して,Lie代数としての直和分解𝔤=𝔥𝔞\mathfrak{g}=\mathfrak{h}\oplus\mathfrak{a}が成り立つ.𝔱\mathfrak{t}𝔤\mathfrak{g}のCartan部分代数だから,直和Lie代数のCartan部分代数に関する結果(参照)より,𝔱𝔥\mathfrak{t}\cap\mathfrak{h}𝔥\mathfrak{h}のCartan部分代数である.(TGH)0(T_{G}\cap H)_{0}𝔱𝔥\mathfrak{t}\cap\mathfrak{h}をLie代数にもつHHの連結部分Lie群だから,HHのCartan部分群である.TGHT_{G}\cap HHHの可換部分群であって(TGH)0(T_{G}\cap H)_{0}を含むが,(TGH)0(T_{G}\cap H)_{0}HHにおいて極大可換だから(系3.12),(TGH)0=TGH(T_{G}\cap H)_{0}=T_{G}\cap Hとなる.よって,TGHT_{G}\cap HHHのCartan部分群である. ∎

3.4 Cartan部分群と準同型

命題3.17

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群,TTをそのCartan部分群,HHをLie群とし,𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)𝔱=Lie(T)\mathfrak{t}=\operatorname{Lie}(T)𝔥=Lie(H)\mathfrak{h}=\operatorname{Lie}(H)と置く.このとき,Lie代数の準同型ϕ:𝔤𝔥\phi\colon\mathfrak{g}\to\mathfrak{h}に対して,次の条件は同値である.

  1. (a)

    ϕ\phiの持ち上げf:GHf\colon G\to Hが存在する.

  2. (b)

    ϕ|𝔱\phi|_{\mathfrak{t}}の持ち上げfT:THf_{T}\colon T\to Hが存在する.

証明

(a)(b)\text{(a)}\Longrightarrow\text{(b)} f:GHf\colon G\to Hϕ\phiの持ち上げならば,f|Tf|_{T}ϕ|𝔱\phi|_{\mathfrak{t}}の持ち上げである.

(b)(a)\text{(b)}\Longrightarrow\text{(a)} (G~,p)(\widetilde{G},p)GGの普遍被覆Lie群とし,T~\widetilde{T}G~\widetilde{G}の連結部分Lie群であって𝔱\mathfrak{t}をLie代数にもつものとする.T~\widetilde{T}は,G~\widetilde{G}のCartan部分群である.

G~\widetilde{G}は単連結だから,ϕ\phiの持ち上げf~:G~H\widetilde{f}\colon\widetilde{G}\to Hがとれる.ここで,fT:THf_{T}\colon T\to Hϕ|𝔱\phi|_{\mathfrak{t}}の持ち上げであるとする.T~\widetilde{T}は連結であり,Lie(f~|T~)=f|𝔱=Lie(fTp|T~)\operatorname{Lie}(\widetilde{f}|_{\widetilde{T}})=f|_{\mathfrak{t}}=% \operatorname{Lie}(f_{T}\circ p|_{\widetilde{T}})だから,f~|T~=fTp|T~\widetilde{f}|_{\widetilde{T}}=f_{T}\circ p|_{\widetilde{T}}である.したがって,

Ker(f~)Ker(f~|T~)=Ker(fTp|T~)Ker(p|T~)=Ker(p)\operatorname{Ker}(\widetilde{f})\supseteq\operatorname{Ker}(\widetilde{f}|_{% \widetilde{T}})=\operatorname{Ker}(f_{T}\circ p|_{\widetilde{T}})\supseteq% \operatorname{Ker}(p|_{\widetilde{T}})=\operatorname{Ker}(p)

である(最後の等号では,補題3.2系3.10よりKer(p)𝐙(G~)T~\operatorname{Ker}(p)\subseteq\mathbf{Z}(\widetilde{G})\subseteq\widetilde{T}であることを用いた).よって,f~\widetilde{f}はLie群の準同型f:GHf\colon G\to Hを誘導し,これがϕ\phiの持ち上げとなる. ∎

命題3.18

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群,TTをそのCartan部分群とし,HHをLie群とする.このとき,Lie群の準同型f:GHf\colon G\to Hに対して,次の条件は同値である.

  1. (a)

    ffは単射である.

  2. (b)

    f|Tf|_{T}は単射である.

証明

GGの任意の元はTTのある元に共役だから(定理3.8),GGの正規部分群NNが自明であることとNTN\cap Tが自明であることとは同値である.N=Ker(f)N=\operatorname{Ker}(f)とすれば,主張の同値性を得る.∎

3.5 基本群と中心

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群,TTをそのCartan部分群とする.(Lie(T),expT)(\operatorname{Lie}(T),\exp_{T})TTの普遍被覆Lie群だから(命題2.1 (1)),基本群π1(T)\pi_{1}(T)Ker(expT)\operatorname{Ker}(\exp_{T})に自然に同型である.この同型と,包含準同型が誘導するπ1(T)\pi_{1}(T)からπ1(G)\pi_{1}(G)への準同型を合成することで,準同型fG,T:Ker(expT)π1(G)f_{G,T}\colon\operatorname{Ker}(\exp_{T})\to\pi_{1}(G)が得られる.次の定理では,この記号を用いる.

定理3.19

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群,TTをそのCartan部分群とし,𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)𝔱=Lie(T)\mathfrak{t}=\operatorname{Lie}(T)Δ=Δ(𝔤(),𝔱())\Delta=\Delta(\mathfrak{g}_{(\mathbb{C})},\mathfrak{t}_{(\mathbb{C})})と置く.このとき,群準同型fG,T:Ker(expT)π1(G)f_{G,T}\colon\operatorname{Ker}(\exp_{T})\to\pi_{1}(G)は全射でKer(fG,T)=Q(2πiΔ)\operatorname{Ker}(f_{G,T})=Q(2\pi i\Delta^{\vee})を満たし,したがって,群同型

Ker(expT)/Q(2πiΔ)π1(G)\operatorname{Ker}(\exp_{T})/Q(2\pi i\Delta^{\vee})\cong\pi_{1}(G)

を誘導する(命題2.24 (2)よりQ(2πiΔ)Ker(expT)Q(2\pi i\Delta^{\vee})\subseteq\operatorname{Ker}(\exp_{T})であることに注意する).

証明

まず,GGが単連結である場合を考える.このとき,π1(G)=1\pi_{1}(G)=1だから,示すべき主張は,Q(2πiΔ)=Ker(expT)Q(2\pi i\Delta^{\vee})=\operatorname{Ker}(\exp_{T})である.ルート系Δ\Deltaの基底Π\Piを一つ固定し,(Δ,Π)(\Delta,\Pi)に関する優整ベクトルを単に優整ベクトルということにする.分裂簡約Lie代数に対する最高ウェイト理論より,λP(Δ)\lambda\in P(\Delta)が優整ベクトルであれば,有限次元既約𝔤()\mathfrak{g}_{(\mathbb{C})}加群VVであって𝔱()\mathfrak{t}_{(\mathbb{C})}Π\Piに関して最高ウェイトλ\lambdaをもつものが存在する.いまGGは単連結だから,これはGGの連続表現(π,V)(\pi,V)に持ち上がる.h𝔱h\in\mathfrak{t}はウェイトλ\lambdaのウェイト空間VλV_{\lambda}λ(h)\lambda(h)倍写像として作用するから,π|T\pi|_{T}VλV_{\lambda}上の11次元部分表現を定め,これがλ|𝔱\lambda|_{\mathfrak{t}}の持ち上げとなる.したがって,λX(T)\lambda\in X(T)である.P(Δ)P(\Delta)に属する優整ベクトルの全体はP(Δ)P(\Delta)を加法群として生成するから,P(Δ)X(T)P(\Delta)\subseteq X(T)を得る.このことと命題2.18命題2.21より,Ker(expT)Q(2πiΔ)\operatorname{Ker}(\exp_{T})\subseteq Q(2\pi i\Delta^{\vee})が成り立つ.これで,主張が示された.

次に,一般の場合を考える.(G~,p)(\widetilde{G},p)GGの普遍被覆Lie群とし,T~\widetilde{T}G~\widetilde{G}の連結部分Lie群であって𝔱\mathfrak{t}をLie代数にもつものとする.T~\widetilde{T}は,G~\widetilde{G}のCartan部分群である.GGの被覆Lie群(G~,p)(\widetilde{G},p)TTの被覆Lie群(T~,p|T~)(\widetilde{T},p|_{\widetilde{T}})のそれぞれから定まる完全列とその間の準同型,および自然な同型π1(T)Ker(expT)\pi_{1}(T)\cong\operatorname{Ker}(\exp_{T})π1(T~)Ker(expT~)\pi_{1}(\widetilde{T})\cong\operatorname{Ker}(\exp_{\widetilde{T}})から定まる,次の可換図式を考える.

1{1}Ker(expT~){\operatorname{Ker}(\exp_{\widetilde{T}})}Ker(expT){\operatorname{Ker}(\exp_{T})}Ker(p|T~){\operatorname{Ker}(p|_{\widetilde{T}})}1{1}1{1}π1(G~){\pi_{1}(\widetilde{G})}π1(G){\pi_{1}(G)}Ker(p){\operatorname{Ker}(p)}1{1}fG~,T~\scriptstyle{f_{\widetilde{G},\widetilde{T}}}fG,T\scriptstyle{f_{G,T}}

前段の結果よりKer(fG~,T~)=Q(2πiΔ)\operatorname{Ker}(f_{\widetilde{G},\widetilde{T}})=Q(2\pi i\Delta^{\vee})かつCoker(fG~,T~)=1\operatorname{Coker}(f_{\widetilde{G},\widetilde{T}})=1であり,Ker(p)𝐙(G~)T~\operatorname{Ker}(p)\subseteq\mathbf{Z}(\widetilde{G})\subseteq\widetilde{T}補題3.2系3.10)よりKer(p|T~)=Ker(p)\operatorname{Ker}(p|_{\widetilde{T}})=\operatorname{Ker}(p)である.したがって,上記の可換図式に蛇の補題を適用すれば,完全列

1Q(2πiΔ)Ker(fG,T)11Coker(fG,T)111\longrightarrow Q(2\pi i\Delta^{\vee})\longrightarrow\operatorname{Ker}(f_{G,% T})\longrightarrow 1\longrightarrow 1\longrightarrow\operatorname{Coker}(f_{G,% T})\longrightarrow 1\longrightarrow 1

を得る.よって,Ker(fG,T)=Q(2πiΔ)\operatorname{Ker}(f_{G,T})=Q(2\pi i\Delta^{\vee})かつCoker(fG,T)=1\operatorname{Coker}(f_{G,T})=1であり,主張が成り立つ.∎

系3.20

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群,TTをそのCartan部分群とし,𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)𝔱=Lie(T)\mathfrak{t}=\operatorname{Lie}(T)Δ=Δ(𝔤(),𝔱())\Delta=\Delta(\mathfrak{g}_{(\mathbb{C})},\mathfrak{t}_{(\mathbb{C})})と置く.このとき,次の条件は同値である.

  1. (a)

    GGは単連結である.

  2. (b)

    Ker(expT)=Q(2πiΔ)\operatorname{Ker}(\exp_{T})=Q(2\pi i\Delta^{\vee})である.

  3. (c)

    X(T)=P(Δ)X(T)=P(\Delta)である.

証明

(a)(b)\text{(a)}\Longleftrightarrow\text{(b)} 定理3.19から従う.

(b)(c)\text{(b)}\Longleftrightarrow\text{(c)} 命題2.18命題2.21から従う. ∎

定理3.21

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群,TTをそのCartan部分群とし,𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)𝔱=Lie(T)\mathfrak{t}=\operatorname{Lie}(T)Δ=Δ(𝔤(),𝔱())\Delta=\Delta(\mathfrak{g}_{(\mathbb{C})},\mathfrak{t}_{(\mathbb{C})})と置く.このとき,群準同型expT:𝔱T\exp_{T}\colon\mathfrak{t}\to TexpT(P(2πiΔ))=𝐙(G)\exp_{T}(P(2\pi i\Delta^{\vee}))=\mathbf{Z}(G)を満たし,したがって,群同型

P(2πiΔ)/Ker(expT)𝐙(G)P(2\pi i\Delta^{\vee})/\mathord{\operatorname{Ker}(\exp_{T})}\cong\mathbf{Z}(G)

を誘導する(命題2.24 (2)よりKer(expT)P(2πiΔ)\operatorname{Ker}(\exp_{T})\subseteq P(2\pi i\Delta^{\vee})であることに注意する).

証明

指数写像expT:𝔱T\exp_{T}\colon\mathfrak{t}\to Tは全射であり,系3.10より𝐙(G)T\mathbf{Z}(G)\subseteq Tである.また,h𝔱h\in\mathfrak{t}に対して,

eh𝐙(G)\displaystyle e^{h}\in\mathbf{Z}(G) Gから自身への写像gehgehが恒等写像\displaystyle\iff\text{$G$から自身への写像$g\mapsto e^{h}ge^{-h}$が恒等写像}
Ad𝔤()(eh)=id𝔤()\displaystyle\iff\operatorname{Ad}_{\mathfrak{g}_{(\mathbb{C})}}(e^{h})=% \mathrm{id}_{\mathfrak{g}_{(\mathbb{C})}}
任意のαΔに対してeα(h)=1\displaystyle\iff\text{任意の$\alpha\in\Delta$に対して$e^{\alpha(h)}=1$}
任意のαΔに対してα(h)2πi\displaystyle\iff\text{任意の$\alpha\in\Delta$に対して$\alpha(h)\in 2\pi i\mathbb{Z}$}
hP(2πiΔ)\displaystyle\iff h\in P(2\pi i\Delta^{\vee})

である.ここで,第3の同値性は,Ad𝔤()(eh)=ead𝔤()(h)\operatorname{Ad}_{\mathfrak{g}_{(\mathbb{C})}}(e^{h})=e^{\operatorname{ad}_{% \mathfrak{g}_{(\mathbb{C})}}(h)}が各ルート空間(𝔤())α(\mathfrak{g}_{(\mathbb{C})})_{\alpha}eα(h)e^{\alpha(h)}倍写像として作用することから従う.以上より,主張が成り立つ.∎

系3.22

GGをコンパクトなLie代数をもつ連結Lie群,TTをそのCartan部分群とし,𝔤=Lie(G)\mathfrak{g}=\operatorname{Lie}(G)𝔱=Lie(T)\mathfrak{t}=\operatorname{Lie}(T)Δ=Δ(𝔤(),𝔱())\Delta=\Delta(\mathfrak{g}_{(\mathbb{C})},\mathfrak{t}_{(\mathbb{C})})と置く.このとき,次の条件は同値である.

  1. (a)

    𝐙(G)=1\mathbf{Z}(G)=1である.

  2. (b)

    Ker(expT)=P(2πiΔ)\operatorname{Ker}(\exp_{T})=P(2\pi i\Delta^{\vee})である.

  3. (c)

    X(T)=Q(Δ)X(T)=Q(\Delta)である.

証明

(a)(b)\text{(a)}\Longleftrightarrow\text{(b)} 定理3.21から従う.

(b)(c)\text{(b)}\Longleftrightarrow\text{(c)} 命題2.18命題2.21から従う. ∎